2005年5月3日(火)
GW特別企画 連続芋づる式第一回「まちシリーズ」その2
(no.11) 南海ホークスがあったころ 野球ファンとパリーグの文化史
永井良和/橋爪紳也 著

南海ホークスが
あったころ
野球ファンと
パリーグの文化史

永井良和/橋爪紳也 


紀伊国屋書店
1800円+税 
2003年発行
上記画像は
アマゾンへのリンクです。

私を野球場に連れて行って
Take me out to The Boll Game

まずはこれを聞いて欲しい。コンバット・マーチ(早稲田大学応援部HPより)
あえて早稲田の応援部からのリンクにした。それはこのコンバット・マーチが早稲田で生まれたものだからである。この曲が今や、様々な野球の場面で流れる曲になっている。

 野球の歴史、それはスター選手に光をあて語られる事が殆どである。その中ではこのコンバット・マーチが語られる事も、応援そのものについて語られる事も殆ど無い。またそれが語られる事があってもどうしても回想の色合いが強くなる事が多い。この本では南海ホークスというチームに焦点をあて、プロ野球の歴史を紡ぐ事を試みる。

 南海ホークス。これを読んでくださっている方でご存知の方がどれほどいるだろうか?今、南海のユニフォームを一番容易に見ることが出来るとすれば、間違いなくこの本であろう。
        
(上の画像をクリックすると、アマゾンでこの書籍を購入する事が出来ます。)
 
ドカベンを書いた水島新司氏による「あぶさん」である。この本が出たのが1974年。そして今も連載中(つまり30年以上の連載)この左は1巻のイラスト。イラストの中の後方にいる人は南海ホークスの背番号19番。野村克也である。そう野村監督が現役の頃から続く作品である。この作品もまた、ホークスを軸に描かれた、一つのプロ野球史である。村田、東尾、田淵、山田…彼らの勇姿もマンガの中で見ることが出来る。この作品がホークスの歴史を語っている。南海からダイエーへ。(右の巻が南海からダイエーへユニフォームが変わった巻)そして今年ソフトバンクへ。


 そして今回紹介する本。これはそのホークスを軸にその本拠地であった大阪スタジアム、そこに集うファン等の歴史を丁寧に書いたものである。その中でも今回の企画に当てはまるのは第1章である。第1章では、関西での野球場の建設の経緯を当時の資料を用い説明している。

 そこで述べられているのは関西で球場は私鉄各社が郊外の開発の中の一環で作られた、という事である。沿線の郊外都市の好環境を示す一つの指標として、つまり自社の乗降客を増やす意味で作られたという事を指摘している。ちなみに甲子園等もそうである。
(郊外の考えはハワードの「明日の田園都市」が一つの端。田園調布のまちの作りなどはこれに共通する所が多い。ちなみに田園調布は西武の堤一族が作った。)

 これは正に都市の発展にあたり、野球場が集客施設として機能していたことを意味する。更に面白いのは関西の私鉄各社を見た場合、阪神→甲子園、阪急→西宮、近鉄→藤井寺、とここまでは郊外型なのだが、南海→大阪球場は、大阪の市街地のど真ん中に作られたものなのである。郊外から都心へ。ここで集客施設であることは変わりないが、新たなモデルケースが提示されるのである。都心にあった大阪球場はどのような経営を行ったか=どのように客を集めたか?そして何故取り壊されたか?郊外の集客施設に求められるものは?都心の集客施設に求められるものは?そういうことを考えるきっかけがこの本にはある。

 その球場にくるファンの応援の歴史。これも非常に興味深い。ジェット風船といえば阪神だが、実はその発祥は広島である事が書かれていたりもする。南海の歴史ではスコアラーを最初に使ったのは南海である事が書かれていたり…。単にプロ野球が好きな人にもオススメの一冊である。

 更に言えば、今パリーグを考えるという意味でも、ひいては日本プロ野球を考えるという意味でも意味のある一冊である。そしてプロ野球について学術的に書かれた本としても今後の一つの指針となるのではなないだろうか?


 さて明日へつなぐものとして…
今日紹介したとおり、阪神→甲子園、阪急→西宮、近鉄→藤井寺、南海→大阪球場と来てあと1社、関西私鉄の大手がありません。それは何処か?そしてその社は球場の変わりに何を用いたのか?そこから明日はつなげていきたいと思っております。宜しかったら明日も是非ご覧下さいm(__)m

今日のあれこれ
 楽習(がくしゅう)。学校で学んでいてもその必要性を感じる事が多い。学びって結構制約があるところで学ばないといけない事がある。特に専門性の習得を目指す時には正に強いて勉める、勉強をしなければならないときがある。その時に楽しんで習う事が出来れば、その道のりもそして見えてくる事も変わってくるんじゃないか、と思うのである。楽しむ為にはその専門性を自分の関心と結び付けていくことが一つ。(M的要素があれば苦痛も苦にならないのだが)その結びつける練習になるのが乱読かなあ、と思い、今回の企画を思いついた次第である。

単に自分勝手で楽しくやりたいんだ、といえば見も蓋もないが(汗)「難しいことをやさしく、やさしいことを面白く、面白いことを深く」井上ひさし氏の言葉である。
ここから思う「楽習」。少しずつここでやってきればなあと思っている。
本日のお勧めリンク
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/yosimune/index.html (オール葵ジュニアのHP 資料有)
http://www2.csc.ne.jp/~fudoki/index.html (球場風土記 各球場の写真が見れます)
http://simlabo.main.jp/simcity/gardencity/index.htm 
(都市シミュレーション学研究会内みんなでまちづくり 田園都市編)
http://simlabo.main.jp/index.shtml (都市シュミレーション学研究会 シムシティーを使った学び これも楽習では?)

下にフレームが表示されていない場合はここをクリック

当サイトはアマゾンアソシエイトプログラムを使用しています。