2005年5月7日(土)
GW特別企画 連続芋づる式第一回「まちシリーズ」その6
(no.15) 南方熊楠 奇想天外の巨人 荒俣宏 著

南方熊楠

奇想天外の巨人

荒俣宏 著


平凡社
1631円 
1995年発行
上記画像は
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日本の博物学者・ゼネラリストの代表者 南方熊楠

 さて最終日である。最終日の今日は「南方熊楠」について取り上げたいと思う。彼を一言で言うと…変人、若しくは超人という言葉が合うのではないだろうか?植物学で名を残し、民俗学で名を残し、あるいは宗教学の方面でも名を残している。博物学という言葉があるが、正しくそれにふさわしい学びを生涯貫いた人であるといえよう。興味も多岐にわたり、男性を愛する人でもあった。

 今で言えば、永六輔かこの本の著者となっている荒俣宏もその部類に入るのではないかと私は思う。ためしにアマゾンなり何処かで彼らの著書を検索してみて欲しい。その多分野に渡る事…。(深さ、広さは人により違いがあるが)このような学びの第一人者、それが「南方熊楠」である。

 彼の収集コレクションの量は莫大なものである。その中から彼は、男根に似たキノコを標本として残し得たり、珍しい形の物もいくつか残している。これはどういうことか。荒俣氏は指摘する。

【集めるという行為それ自体からして、一種の天才と精神の果敢さを要求する。というのも陰茎に良く似たキノコや、珠をもつウミヘビの様な事例は気の遠くなるほど多くの「当たり前な類似標本」を積み重ねたあげく眼前に提示される自然界の驚異だからに他ならない。】


 
このように多くのものに興味を持ち、それを深めていった彼だが、特に粘菌の分野での彼の功績は著しいものである。日本の粘菌研究最大の功労者といっても過言ではない。
 その彼が、今日の紹介で取り上げる事になるのが、その粘菌研究の面からも反対した、神社合祀反対運動なのである。神社合祀反対運動とは何か?簡単に言えば神社を合併させ、各集落ごとにあった神社を各町村に1つという形に整理する事(国家による政策(国家神道という形を推進する事)とも関係)に対する反対運動の事である。

 彼はこの反対運動の中でその神社ある鎮守の森の重要性を説いた。粘菌をはじめ様々な生物の宝庫であるこの鎮守の森を合祀により破壊する事はならないという趣旨で反対したのである。これは日本での環境保全運動の先駆けと見ることも出来る。様々な分野で功績を残した彼の真骨頂であるといえよう。
(詳細はここでも http://www.nanki-town.jp/history/kumagusu.htm
鎮守の森、これが昨日の本とのつながりである。

 この本では彼の手紙や著作についても取り上げられている。それをみて感じるのは、博物学の第一人者であった彼が、一つ一つの分野を独立させるという形ではなく、それらをリンクさせ、深めていったという事である。彼の文面、若しくは構想を書いたものからそれを如実に感じ取る事が出来る。真のゼネラリストという事が出来よう。

 この本は彼について始めの一歩として知る事が出来る格好の一冊である。(写真も多いのでオススメ)是非何かの機会に読んでみて欲しい。

追記
 企画はこれで終わるが、環境保全運動というキーワードで見たとき、これを広げる事も出来る。彼はイギリス留学の経験があり、そこで大英博物館にも勤めている。丁度その前後、イギリスでは、ジョン・ラスキンというこれまた環境保全という世界では大きな役割を果たした人がいた。その彼も大英博物館とは縁がある。そして彼と縁があるのが、ピーターラビットの作者であり、ナショナルトラストの生みの親、ビアトリクス・ポターである。そういうつながりで読み進めていっても面白い。
 こんな本が出ていたので読み次第紹介したいと思う。

ピーターラビットと歩くイギリス湖水地方―ワーズワース&ラスキンを訪ねて
伝農 浩子, 辻丸 純一 
今日のあれこれ
 今日は少し荒れているので文が荒くなるかもしれないがご勘弁を。今、関わっているある問題がある。結局、まだまだ問題は解決せず、下手をすると後3,4ヶ月は続くのかなという形になった。公私というのは明確に区別されるべきなのにどうしてこうなるか?出たいのに出れないし、結果を見てみれば責任を私一人が負っている。いったい私が何をした???本当に憤懣やるかたない。このまま辞めようかとも不覚にも考えている。こんな理不尽な状況にいなければならないのか?と…。
 
その怒りは抑えきれないものだが、ふと考えると、こんな自分に対し気を使い、骨を折ってくれている方々がいる。それを考えるとその怒りも出すに出せず。休火山のようになる。

発散できない事は怖い事であるが、「感謝」を忘れず、もう少し、出来る所までは忍んで行きたいと思う。

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後このサイトに来てくださっている方、勝手にですが、本当に力づけられています。
ありがとうございます。
今後とも日刊という自分で考えても恐ろしいペースですが、何とか維持していきたいと思いますので、お時間ありましたらお付き合いの程いただけると、この上ない喜びです。
本日のお勧めリンク
http://www.aikis.or.jp/~kumagusu/ (南方熊楠資料研究所)
http://www.minakatakumagusu-kinenkan.jp/ (南方熊楠記念館)
http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/lab/2/celltech/nenkin/index.html (粘菌生活)

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