2005年5月9日(月) |
no.17 伝わる・揺さぶる!文章を書く 山田 ズーニー 著 |
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伝わる・揺さぶる!
文章を書く
山田ズーニー
PHP研究所
660円+税
2001年発行
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自分を見つける航海図(チャート)。それが文章では?
コミュニケーション。これは互いの意志を伝え合う事。これはあまり異論のない事であろう。そのコミュニケーションの主要なものの一つが「文章を書く」という事になる。コミュニケーションをするにあたり、案外見落としがちなのは、自分の意志である。自分の意志が分からない事にはコミュニケーションをよりよいものにする事は出来ない。これを追求していくのが本書であるといえる。
状況をもう少し広げて考えてみる。自分とはなんであろうか?私は自分は二つに分けられると考えている。自分自身が思う「自分」。そして他者が思う「自分」その双方の間にあるのが一般的に使われる「自分」になる。人間という言葉がある。これを仏教の世界では「じんかん」と読むという。そこには人と人との関係性、つまり、世間であったり、人以外の動物の意味があったり…。この関係性という説をとるとすると人間は人との関係性を前提として存在する、と考えられる事も出来る。
これも自分の捉え方に通じるものがある。
われ思う、故にわれあり
この言葉に従ってみよう。ではあなたは何を思っているか?これが分かるだろうか?これがあって伝える事が出来るのである。本書では自分の意見、自身が望む事、自分の根っこにあるもの(根本思想)などを如何に明確にしていくか?その方法を述べている。これは自分が何を思っているか?それを明確にする方法である。つまりは「われ」をはっきりさせる方法といえる。
本書では文章を書くために、それに加え、自身の置かれている状況、読み手の事を考える事も進めている。これは相手の中の自己を把握する事と同意であろう。つまり相手の中の「われ」を把握する方法でもあるといえるのである。
そう考えると、結局、コミュニケーション(文章を書く)事をよりよいものにする事を目指す中で、自分自身を把握する事をも目指しているという事が出来るのである。それで今日の表題になるわけである。
「自分を見つける航海図(チャート)それが文章では?」
(※ただここではあくまでも文章を書く為に、自分を見つける、という流れである。これを使うと自分を見つけることも可能であるという意味で上の例えを用いた。(同じ意味を持つ、とも言えると思うのだが))
この本で、自分がなるほど!と思ったのは自身の意見をハッキリさせる為に「問い」を立てる、という指摘。自分もそうだが、どうしても大きな問題に直面すると、パニくって問いがへんになる。どうしてこうなるの?自分の何が悪いの?これは問いが良くない。その問いを変える事で道は開ける、そんな事もこの本から得た、教訓の一つである。
以前、糸井重里氏が今の若い人へという事で「問いが問題だ」という言葉を贈っていた。その時は、自身で何か行動をする時、人に与えられたものでなく、自身で問いが立てられるか?それが問題なのだ!と自分は思っていた。しかしこの本を読んで、そこにもう一つ意味を見出す事が出来た。何かの問題に直面した時に、そこから自身の意志を明確にするには正に「問いが問題」である。つまり、自己を確立する意味でも成り立つ命題、それが「問いが問題だ」だと思えるようになった。
きっかけとなる一冊である。文章の書き方だけでなく、様々な事に示唆に富む一冊。是非読んでみて欲しい。自信を持って薦められる一冊である。
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今日のあれこれ |
師に感謝。そして友に感謝である。
それと同時に、今日の紹介で書いたとおり、やはり伝える事は即ち自分を見つめる事であるとつくづく感じた。大きな問題で自分を見失っていた。これを見つけ出さなければ、と感じた。これは、一人でやらなければならないことである。ここに孤独が生まれるのだと感じた。そしてその孤独は不安だが、恐れるものでないとも感じた。
そして、それを応援してくれる師、友、自分の現状を聞いてくれ、共に悩んでくれる師、友がいた。
自分の事はその人の得になるか?むしろ厳しい立場におかれ、また気にしなければ、気にしないで済む事である。そこであえて、自分を応援、そして自分の話を積極的に聞き出し、そして共に悩んでくれたのである。
その事に本当に感謝である。
今回、問題で失ったものは、相手の存在。その代わり、かけがいのない師、友の存在を感じることが出来た。やっぱり感謝である。 |
本日のお勧めリンク |
http://www.php.co.jp/index.html (PHP研究所HP)
http://www.1101.com/essay/index.html (ほぼ日刊イトイ新聞内 大人の小論文教室 山田ズーニーさんの連載)
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