2005年5月10日(火)
no.18 あなたの話はなぜ「通じない」のか 山田 ズーニー 著
あなたの話は
なぜ「通じない」のか

山田ズーニー

筑摩書房 
1400円+税
 
2003年発行
上記画像は
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あなたはなぜ相手と通じようとするのだろうか?

 私はつい最近、ある一人の女性を好きになった。そして、結果は私は彼女の心を傷つけ、その事により自分自身も傷つくという形だった。それは彼女とのやりとりの中でそういう結果になったのだが、そのやりとりで常に自分の気持ちにあったのは相手に「自分の気持ちを分かって欲しい」という事だった。結果が自分にとってもすぐに受け止められるものでなく、最近ようやく冷静になってそのあたりの事を考え始める事が出来るようになった。そんな時に読んだのがこの本である。

 彼女との関係の中でその結果を迎えた時、最初に感じたのは正にこの本にあるとおり「何故私の想い(話し)は彼女に届かないのか?」という事だった。そしてそれはこの本を読むまでは自分はそれを一方的に彼女のせいにしていた。そして、少し冷静になったとき先に書いたとおりこの本に出会ったのである。

この本ではこの問いに対してコミュニケーションにおける自身のメディア力の必要性を説く。そして更にその為にはまずは、論理、それに加え、信頼、そして共感が必要であると説くのである。そして、それらを獲得する方法を提案していく。

 
 論文。これを考えた時、必要なのは論理、これに尽きる。私も従来、相手に意見を述べる時は、如何にこの論理を重視するか、それのみを習い、習得してきた。しかし筆者は小論文のプロでありながら、相手に何かを伝える事はそれとは別であるとし、こう言う。

正論を拒むのは、人間の本能かもしれないと私は思うようになった。正論は強い、正論には反論できない、正論は人を支配し、傷つける。人に何か正しいことを教えようとするなら「どういう関係性で言うか?」を考え抜く事だ。
望んでもいない相手に正論を振りかざすのは、道行く人の首根っこをつかまえるような暴威だ。

 そして信頼、共感を得るために何が必要なのかを考えていくのである。ここが、話、文を考える上で自分の読んだ他の本で提起される事のない点であった。又考えてみればその事は至極当たり前のことなのだが、改めて気付かされ、結果、お勉強で習った「論理」が自分の生活の中に降りてくる瞬間にもなったのである。

 翻って自分の事を考えれば、彼女に対し、私は論理で、正論をぶつけていた。それでも相手が望んでくれているうちはそれがうまくいったが、結局、あるきっかけでその関係が変わるとそれは「暴威」に変わり、結果、彼女を傷つける事になった。

 その時、自分は精一杯だった。だから今その事に自身の悔いはない。その時々出来る事はやったという思いがあるから。しかしこの本を読んだ後、はっきりと相手に対する申し訳なさと、自分が今後、どう精進していくか、それが残った。
 
 何故、論理をぶつけるときに、信頼、共感について考えなかったか?
 →今後は考えて生きていかなければ!

 何故筆者の言う、時により正論は暴威である、という事に気付かなかったか?


 更に言えば改めて本日の題にしたこの問いを突きつけられ、自分のあり方を見つめる機会を得たのである。
 
 「あなたは何故、相手と通じようとするのだろうか?」 
 
 →(それは筆者がこの本の中で言ったとおり)自分にも相手にも嘘をつかずに、自分自身で相手に関わっていく為である。それなのにお前はどうだったんだ…?


そんなこんなな一冊だった。この本のお陰で改めて自身の今ある問題を少し直視し、向かい合っていく事ができはじめた。感謝である。その感謝の念をこめてこの本を紹介する。

追伸
昨日紹介した本との違いは、やはり、信頼・共感におくウエイトであろう。それがより明確に出ているのが今日の本、それらを踏まえた上で、文を書くこと実践的な一冊が昨日の本であると私は思う。
今日のあれこれ
今出来ること?
今出来ることってなんだろう?

これを考えた時、次の問いを浮かべるといいのかなと感じた。
自分の置かれた環境は?(組織に属している、組織から離れている、経済的なもの、人間関係etc)

自分が、そこにいると気付かないが、自分の環境って案外他の人に比べて恵まれていることってあると思う。それなのにそれを自分から捨てる事結構あるような気がする。自らの決別、これはかけがいのないものだと思う。
でもその時に、今自分の置かれた環境についてもう一度評価をしてみてはどうだろうか?

あなたが嫌がっている環境が端から見れば、どれだけうらやましいものか?
それを考えれば、もしそこを活用するにしても、活用しやすくなるし、決別する際にもそこの価値を知ったうえで後悔なしに別れられるのではと思う。

自分の視線、上からだなと感じた今日。これは衝突を恐れているからかな?と思い始めている。
Aとの違いはここではないかと思った。私は信頼できる人でないと、同じに立てない。これは弱点。
相手ときちんと対峙して一対一で勝負しなければ。
本日のお勧めリンク
http://www.iwanami.co.jp/meigen/ (岩波書店 今日の名言 新たな気付きがあるかも?)

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