2005年6月9日(木)
no.35 MASTERキートン 勝鹿 北星, 浦沢 直樹 著 
MASTERキートン
全18巻

勝鹿 北星
浦沢 直樹


小学館
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あなたは如何に学ぶのだろうか?

 この国にいる限り誰もが、少なくとも9年間の義務教育を受けている筈である。(勿論この義務とは親の教育を受けさせる義務、国が教育を保証する義務であるが)私もこの9年間の義務教育を終え、高校、大学へと進学をしてきた。そして、大学へ進学しふと思うことがあるのがこれ。

「私は何故、そして如何に学ぶのか?」

ということである。また私の周辺では学ぶ意味、学び方についての悩みを持つ人は多い。それは良く出る話題の一つである。現に私自身も、ある事をきっかけに今まで当然と思ってきた学びの環境を失う事になり、非常に困惑している。

大学という集団で生活をしていくと学びという事柄の複雑さを本当に痛感する。ある事を学ぶにしても人間関係、経済的なもの、時間…様々な事柄が絡んでいて、その中に自分が学びたい事があるという感じを受けるのである。それは時に励みになり、時に大きな障害となる。

そういう事を考えるようになった時にいつも読むのがこの作品である。

 主人公キートンは考古学者、といっても元イギリス軍の特殊部隊に在籍したと言う過去を持ち、さらに保険の調査員という肩書きを持つ。オックスフォード大卒の彼はその学説と、経歴から中々日本の大学という社会に受け入れられない。仕事も本業の考古学者よりも調査員のほうがメインになる始末。そんな中で彼は自分が如何に生き、そして学んでいくか、それを探っていくのである。

 この本の書かれている頃は丁度、東西冷戦終結の頃。その為、話にもそれがよく反映されている。その舞台はこの作品に一流のミステリーと言う味付けをしている。
そして又、この作品には様々な個性的な脇役が出てくる。キートンの父・太平、娘・百合子、保険調査事務所の相棒・ダニエル、幼馴染の探偵・チャーリー、そして忘れられないキートンの師、鉄の睾丸・ユーリー教授などなど皆、様々な個性、生き様を背負って出てくる。それがまた、読む人のいろいろな場面に重ね合わせることが出来ると思うのである。


人間は一生自分と言う宇宙から出られはしない。
自分の中に描いた他人と共に暮らし、ドラマを作り、泣き、悲しみ、死んで行く・・・・・・
【真実だとしてもそれは悲しいことですよね。愛する人が感じた事を同じように感じたい】
しかし人間はこの宇宙よりもずっと広大な宇宙を持っている・・・・
あるいは私の言った事の方が幻想で、人間の心は本当には通じ合っているのかもしれないよ
【どうしたら本当のことがわかるのですか】
聖フランチェスコのように奇跡を見るしかないな
【答えにもならない】
でも奇跡は起こるよ。この私ですら見た事があるんだ


一人ぼっちそれは素晴らしい悟りだ
それを知っていれば誰だって許せる。


一度ぐらいの理不尽は許すんだ。それが友達だろ
今彼を許せないと一生誰も許せなくなるよ
(以上、第4巻キャプチャー1 喜びの壁より)

人生の達人はどんな時も自分らしく生き、自分色の人生を持つ。
自分を哀れんでいる時間は無い。
(7−79)


信念を持って大胆に行動せよ。そうすれば結果はついてくる。
人間は学びたいという心さえあれば、どんな所、どんな時でも学べる。
(巻失念)


この本を今回読んで目に付いた所である。以前タフさとは何か、という事を書いた時にそれは「明日を楽観視する余裕」を持つ事と書いた。しかし、ここで見出す事の出来るタフさは正に強いタフさである。それでいて自然、優しい。読んでいて励まされる一冊なのである。学べる、まだ学べる、まだ濃い生き方が出来るんだよ、と。それを感じると、最初の命題も何となく見えてくるのである。はっきりではないが。

 是非、オススメしたい一冊なのだが、現在絶版である。原作云々で揉めているようである。早急の復刊を心から願うとともに、思うのは、その揉め事があったとしてもこの作品の素晴らしさはいささかも衰える事はない、という事である。また逆を言えば、それだけ揉めている状態でもこれだけの傑作を生み出す事は可能である、という事である。
それもまた自分にとっては大きな励ましになる。念ずれば道開ける、と言う所であろうか。

是非、お知り合い、若しくは漫画喫茶などで読んでみて欲しい。
行き詰った時に是非オススメである。
今日のあれこれ
はじめての事
今、おかれている状況は初めてのことである。そして滅多に経験できない事でもある。だからこそ少しずつ動いていきたい。でも考えてみれば、最初は、知り合いもいない、寧ろ変わり者と思われ、今より厳しいゼロから始めたんだなと思う。今日紹介したキートンやそこに出てくるユーリー教授のようにその気になれば大学出たって学べる。それが寧ろ生涯学習なのかもしれない。
良い意味で捨てる勇気、こだわる勇気を持たなければ。それが大学の為に自分が出来ることでもあるんじゃないかと思う今日この頃。

一昨日は野球観戦に行きました。インボイス西武ドーム。松坂登板ゲームでしたが結果は…
でもあのカクテル光線は気持ちを晴れやかにしてくれます。下はその写真。

 

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これからも色んな企みをやっていくつもりです。こんな事一緒にやってみんか!と言う人、もしくは一緒にやって見たいという人、どうぞお気軽にメールください。
…でも藍が芽出さんと企画だおれなんだよねえ〜

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
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http://number29.ameblo.jp/entry-315dc35e04b85d409d0bfc2c678202d0.html
 (ブログ 砂上の金貨)
(以上、マスターキートン絶版について記述があるブログ、リンク)

http://triplebridge.hp.infoseek.co.jp/fukkan.html (マスターキートン復刊運動)

http://www.tanken.com/ (探検コム キートン気分を…)

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