2005年5月30日(月)
no.31 堪忍箱 宮部 みゆき 著 
堪忍箱

宮部みゆき著


新潮社
500円

2001年発行
上記画像は
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現代小説? 時代小説? その共通項は?

 このサイトは本が好き!お気軽読書日記の管理人さんもろりんさんが見事に喝破なさっている通り非小説の本を中心に紹介を続けている。読んではいるのだが、紹介となると…というのがその原因。その中で小説といえば紹介するのは何故か「宮部みゆき」である。

 前回は「誰か」を紹介した。(5月14日参照)これは現代小説。今回紹介するのは時代小説である。彼女の作品は時代小説の中でも傑作が多い。それは今後また、小説を紹介する時に(笑)紹介していきたいと思っている。彼女の時代小説を自分が好意的に受け止めるのは何故かな?そんな事を今回改めてこの作品を読みながら考えた。

 それが今日の題に通じる。私が最初に読んだ宮部作品は「蒲生邸事件」だった。これを読んだ時もすんなり入っていけた。この時代も昭和初期という少々自分にとっては苦手な時代でもあるのにである。それもやはり今日の題に通じると思うのである。

それは何か。宮部作品はどれも(現代小説であれ、時代小説であれ)人の持つ、誰もが常に持っていながら、目に入れない思い・感情を見事に描き出しているからではないかと思うのである。
これが池波作品であれば、酸いも甘いも噛み分けた人が語ってサマになるとても深い人間像が語られるのである。どちらもそれぞれ珠玉の作品である。一言で言えば宮部作品は『身近な人間像の再発見』とでもいえようか。

 私は地域に関する事を学ぶ事を志している。それを進めれば、進めるほど、自身が知らないでいた事に気付き、驚く。「自分のうちのある場所、100年前は何があったか?」「なぜ自分の住んでいる場所に集落が出来たか?」など等。そして、それを学ぶとその自分の地域、地元を見る目が必ずといっていいほど変ってくるのである。愛着、こだわり…様々な感情が自分の底よりふつふつと湧き上がってくるのである。

もうお分かりであろう。宮部作品もまた、『身近な人間像の再発見』が出来、そこから人間に対し、様々な感情を新たに抱く事が出来るようになると私は思うのである。しかもそれはいつの時代も通じるものである。例えば、貞操感。時代小説を読んでいくと、今じゃありえないだろ!なんて思う話もある。それに対し宮部作品で取り上げるテーマは時代を問わずに考えられる(と思える)テーマなのである。その共通性こそ、彼女の作品、時代小説の特徴であると私は思うのである。


 この本は時代小説の短篇集である。
中でも私の印象に残ったのは表題作の「堪忍箱」。これを読んだ時、触れられない過去、人の深さ、そして「結界」という言葉を思い出した。誰もが持っている筈である。自分でも触れられない過去、触れたくない過去。そういうものがある、という事を一つの物語をそこに出てくる一つの箱を通し、描かれていく技に一人感動した。

ふと気付くと、自分もそんな過去あるのである。その事がふと見えなくなる事もある。そんな時に後味よく気付かせてくれる作品だと感じた。

あなたも見落としている自分、人の性(さが)をこの本を手がかりに見つけてみてはいかがだろうか?
今日のあれこれ
 今日は久々の小説の紹介。つくづくこの小説の紹介にかけては苦手意識が拭えない。なぜか?それは本を読む姿勢の違いにあるのかなと、今日書いていて思った。非小説の場合、意識的に何か目的を持ち読む、という形が多い。コミュニケーションの向上を目的にしていたり、ある知識の定着を目指していたり…。
だからこの書評を書く時は新知見を書く事が非常に容易である。読む本のパターンだけ、各パターンがかなりの高確率で出来る。
それに対し、小説。私の場合は楽しんで読む。あくまでもそれが第一義であり、積極的に新知見を得ることを目的としていない。自分の中で楽しみ、そして感想を書く為、どうしても自分が出てしまう。そうすると、自分に向き合って感じた所を見つけ出していかなければならい。そして楽しかった!だけで終わる作品もある。それだけに書いていて、「又同じ事言っている」といわれる可能性が高いのである。(私の場合はです。勿論)

影響を受ける一冊、というのも小説も多いのだが… それを多くの人に通じるように書くというのは思いのほか難しいものである。
精進、精進



ふと抱いてしまうこの感情。俺が何をした。何で今こうなるのか…!相手に対する憎悪、あのやろう!という気持ち。怒りが主である。この自分勝手さ。
面白いものである。でもなんともやりきれない。

でも幸いな事に最近は、そこから前に進む気が強くなってきている。

ここからどう出来る範囲でプラスに転じていくか。(関係者が聞くとこいつはまだ…とあきれるかもしれないが)

端から見ればバカかもしれない。懲りない奴なのかもしれない。
でもこの世に生まれた自分は唯一つ、それに意味がある事を信じ、たとえゼロになっても進んでいきたい。
自分流で生きていきたい。
もうこれ以上、失うものがあっても、それはしゃあない。去るものは去れ。憎むものは憎め!自分が今できることを悔いを残さない為にもやっていきたい。

なんて鼻息の少し荒い今日。
本日のお勧めリンク
今日は行き詰った時に読むページを…。

http://homepage2.nifty.com/katsuya-m/ (勝谷誠彦の臨時革命ページ)
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/ (町山智浩アメリカ日記)
http://blog.goo.ne.jp/takkie0516/ (殿下さま沸騰の日々『てめーらなめんなよっ!』)

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